■企業の派遣社員採用の増加に懸念

 最近はシニア層のみならず若年層も就職難の状態である。バブル以降の景気の停滞が大きな原因であることは否めない。一つさらなる心配がある。シニア層は賃金が高い、使い難いなど理由で求人率が低いのは理解できる。しかし若年層の人口が減っているのに、景気がやや回復基調にあるというのに、若年層にはフリーターと呼ばれる定職につかない層があるのに、若年層の求人率が低いと言うことである。
 これは、バブルの頃は見せかけ経済の中で必要もないのに人を抱え込んでいたということか?
更に将来の日本を占う上で懸念する材料が雇用形態に一つある。つまり、正社員の採用を企業が控え、派遣社員が増えていることである。企業としては、取り敢えずの経費節減対策として採用しているのだろうが、これが将来的な日本の産業の為になるのだろうかと疑問を抱く。
 企業が派遣者育成の為に資金を投入するとは考えられず、結局他の企業で育成され経験して世の中に出てきた労働者を、自分の企業の臨時労働者として使うということである。つまり派遣社員を受け入れる企業は社員育成の経費を使わなくて済むし、雇用の経費も節約出来るということである。
 でも経験のある派遣社員は企業で育つし、その企業が正社員を減らすと言うことは、将来的には経験のある派遣社員は減ってくるということに繋がる。また、正社員が減らされるということは、技術・技能系の会社であれば、その能力を継承する人間が減ってくる、能力の低下を招くということである。
 こういうことが日本全国で起こってくれば、必然的に近い将来日本の産業にマイナス面で跳ね返ってくるのではないかと危惧するのである。

(2004.06.10)
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